うぇるたいぷろぐ

うぇるあめのタイピング関連ブログ

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Eucalyn配列を試してみた記録

 こんにちは、うぇるあめと申します。出来立てのブログです。


 この度PCキーボード配列の1つ「Eucalyn配列」を習得したので、本記事ではその練習記録や感想を残しておこうと思います。配列についての詳細は考案者様のこちらの記事に書かれています。


自己紹介

 大学生です。タイプ速度はそこまで早いわけではなく、QWERTYのKPMは高くて280台あたり。寿司打10,000円普通コースの自己ベストは14,300円(4.8key/秒)です。
 タイピングでやることは日常的なものと記事執筆、リアルタイム短文チャット、プログラミングあたりです。

使おうと思ったきっかけ

 元々はただ単にQWERTYの打ち方の矯正をしていたのですが、次第に興味が脱線してきて「そういえばQWERTY以外にもいろいろ有用な配列があるって噂を聞いたことがあるな……」とあれこれ調べ始めたのが始まりです。より快適な配列はないものかとDvorakやらColemakやら色々な例を見た末に、ローマ字入力特化のEucalyn配列に興味を持ちました。


練習方法

 1日30分~2時間くらいタイピング練習サイトでの練習を続けました。さすがに最初から完全移行は不可能なので、ノートPCはEucalyn、デスクトップとスマホQWERTYという使い分けをしていました。

 ちなみにキーの配列変更にはKeySwapというソフトを使用しています。


 タイピング練習サイトとしては以下の3つを使っていました。

インターネットでタイピング練習 イータイピング | e-typing ローマ字タイピング
 メインはここ。正確性重視のサイトで、見やすく打ちやすい。カルテによって日々の記録を確認できる。

楽しくタイピング練習ができる「マイタイピング」
 サブ。キーごとの正確率や文ごとの速度、ミスの時に打っていたキーなど確認できるデータが多め。

寿司打
 いつもの。時間的プレッシャーがあるので、スピード重視の練習に。


Eucalyn配列練習サイト | Works
 あとはこういうQWERTY配列のままお試しプレイができるサイトもあります。


 他にもブラウザ版 タイプウェル国語Rとかさくさくタイピングとか色々なサイトがあるので、気分によって使い分けると良いと思います。


結果

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14回分の記録

 こちらはe-typingの「腕だめしレベルチェック」を毎日行った結果です。平均wpmの241を超え、260台まで届かせることが出来ました。2週間という比較的短期間の練習ではありますが、少なくとも日常的な用途であれば問題なく使えるレベルになったかなと思います。自分は練習時間をかなり集中的に割いたので、実際はもう少し期間が必要になるかもしれません。


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 ちなみにその後、20回くらい粘ったら300台が出ました。めっちゃ頑張りました。
 これでQWERTY超えだー!と喜んでいたら……


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 試しに同じく粘ってみたQWERTYも激伸びしました。なんで?

感想

 この配列を使うメリットは、やはり代替配列ならではの独特の打鍵感だと思います。移動の少なさと交互打鍵のリズミカルなペースが生み出す心地いい感覚は体験する価値あり。「あたたかくなってきたなあ(ATATAKAKUNATTEKITANAA)」とかめっちゃ楽に打てて爽快です。
 母音や使用頻度の多いキーが集まっているというのもメリットではありますが、裏を返せば位置が似ていて紛らわしいのでコツが要るところでもあります。


 懸念点の一つであろうQWERTYとの両立については、自分は慣れる前・慣れた後ともにさほど問題なく出来ていました。とはいえ途中でEucalyn用PCをQWERTYに戻してみたときは非常に打ちにくかったので、多分キーボードや使用シチュエーション等を分けておくのが良いのではないかと思います。(今は自由に切り替えが出来る状態です)

日々の記録

 毎日記録と簡単な感想を残していたので載せます。
 WPM(実際にはKPM……のはず)と正確率はe-typingのスコアです。

1日目
苦行。この文章もEucalynで打ってるけどただただ辛いの一言
一番使うはずの母音がなぜか一向に馴染まない AはともかくとしてOとEがほぼ毎回わからなくなるしIもUもよく見失う Sが小指なのが生理的に無理 右手のMの位置がものすごく遠く感じる あとタイプミスや変換ミスをするたびに「これもう1回打たなきゃいけないのか…」っていう新感覚のダメージが入る 数字記号やQWZXCVあたりのQWERTY配列と変わってないキーを打つと安心する


wpm59.47 正確率88.98%

2日目
一晩眠っただけで驚くほど手に馴染むようになり、睡眠の重要性を改めて実感した
右手のT,K,S中心にまだまだ「このキーどれだっけ?」と悩みっぱなし 過渡期に起こると言われているQWERTYも打てなくなる問題は今のところない


wpm85.66 正確率95.37%

3日目
wpmは100を安定して超えるようになってきた
慣れて来たので使用機会を増やしてみたが流石にイライラする 指のポジションが不安定になるMI, MUやBI, BUでのミスタイプが特に多い気がする KやSでの混乱も未だ多く、使用機会の多いキーが密集していて取り違えやすいというこの配列ならではの難しさを実感する


wpm109.99 正確率93.84%

4日目
キー入力速度は順調に伸びてきており嬉しい限り プログラミングや簡単なリアルタイムチャットもなんとか出来る
まだまだ頭で考えて打ってる感覚はあり、考えずにスラスラと打てるようになるまではより一層の習練が必要


wpm146.44 正確率97.69%

5日目
メインのキーの「頭で考えて打っている感」は徐々になくなっていくのを感じる(ミスしないとは言っていない)
QWERTYとの併用は問題なく出来ているし、今後も大丈夫じゃないかなという気がする タイピング練習の比較的長いメニューもある程度抵抗なく選べるようになってきた


wpm165.14 正確率94.62%

6日目
ここまでくるとかなり慣れたといっていい状態になっている
KやSの混乱は概ねなくなったが、F~Lまでの下段キーがミスタイプの温床と化している QWERTYだとなかなか使わない位置が含まれているのもあるかもしれない、ホームポジションから手がずれないよう気を付けるのが大事そう


wpm185.31 正確率95.93%

7日目
ミスはあるものの、wpmが200を超えてかなり実用に近くなってきた 押し間違いを減らしてストレスフリーにしていきたい


wpm209.71 正確率95.6%

8日目
スピーディーに打てるようになればなるほどEucalyn配列の移動の少ない打鍵感が心地よく感じられるようになってきた、これは沼だ あかさたな行が連続すると特に楽しい


wpm224.6 正確率96.06%

9日目
一般平均がwpm241.28なのだが、この辺りに差し掛かると今までのようなトントン拍子とはいかなくなってきた


wpm232.26 正確率97.54%

10日目
wpmはわずかに上乗せしたものの正確率の関係でスコアは初めて単調増加ではなくなった 難しい


wpm239.96 正確率95.62%

11日目
ついにe-typing内の一般平均を大きく超えることができた、晴れて一人前
ローマ字表示状態でのタイピングに最適化されてきている気がしたのでかなしか出ない設定での練習も混ぜるようになった


wpm251.36 正確率97.48%

12日目
速度の単調増加は維持したがミスが多すぎた、そもそもタイピング関係なく本番に弱いのもあるかもしれない


wpm256.77 95.09%

13日目
速度的にはかなり満足の行くところまできたが、どうしても母音をスムーズに押すこととの両立がしにくい


wpm266.36 正確率96.01%

14日目
速度の連続上昇記録が終わった。結局たどたどしさは残ったものの、予想以上にしっかり習得出来て非常に満足がいった。 


wpm261.3 正確率95.18%

追記:速度について

 この記事の当初の感想部分には以下のような文がありました。

kpm400~500やそれ以上の高速打鍵を目指すにあたってこの配列がどれくらい通用するのか、ということに関しては正直分かりません。もっと上手い人に託します。

 自分はこの記事の執筆後に趣味として競技タイピングを開始し、現在はQWERTYで平均kpm600~700の打鍵が可能となりました。上手い人かと言われるとやや心許ないかもしれませんが、折角ならということで最後にこの問いに対する私見を書きたいと思います。


 結論として、kpm400~500といった一般的な高速打鍵範囲では個々人のタイピング習熟度や年齢の影響度が大きく、配列に起因する速度的な限界が生じることはあまり考えづらいです。運動量の小ささや使い心地といった交互配列のメリットも十分に発揮されると思われます。

 ただし配列を選ぶ目的が「ひたすら速度のみを追求すること(他の要素は求めない)」である場合はやや事情が異なります。秒間2桁打鍵クラスになると手の交代時間自体のロスが無視できなくなるためです。QWERTYは手の交代前後で「"oku"や"ser"をジャッと打つ」のような高速片手打鍵=アルペジオ打鍵を挟めますが、母音が片側に揃った配列ではそれが原理的に難しくなります。またQWERTYの同指連続使用の多さも「最適化」というテクニックを使う場合は大部分を解消できます。このような事情から、あくまで速度上限という評価軸に関しては競技レベルでも一般的に使用されるQWERTYやJISかな配列(もしくは月配列等のかな新配列)がやや有利という印象です。
 なお類似したDvorak配列の高評価はあくまで英語入力が前提になっているため、英語と母音の出現の仕方が異なる日本語入力にはそのまま適用ができないことに注意が必要です。

 Eucalyn配列を使用した高速化を目指すにあたっては、「GY/MY/TY/RY/NY/HY/KYをスムーズに打ってみる」「FとUを右手で打った方が良い場合が無いか試してみる」「"か" "く" "こ"をcacucoで打った方が良い場合が無いか試してみる」といったテクニックが考えられます。また書籍「タイピングProfessional」には配列研究者のkouy氏やnooyosh氏、多数の入力方法の経験者であるtomoemon氏、日本屈指のDvorak配列使用者であるQuvota氏のインタビュー等が掲載されているので、「配列による高速化」というテーマを本格的に考えたい場合は参考になるものがあるかと思います。